「絵の具で絵を描きたいけど、絵の具の選び方がわからない」「アクリル絵の具と水彩絵の具、聞いたことはあるけど何が違うの?」と迷っていませんか。
どちらもチューブから出して水で溶いて使うので、違いが分かりにくいのは当然です。
しかし、乾いた後の性質は正反対といっていいほど異なります。
この違いを知らずに買うと、「思っていた仕上がりと違う」「筆がカチカチになった」という失敗につながります。
こんにちは!私はアクリル絵の具で絵を描きはじめて1年目の者です。元々絵を描くことが好きで、ある時「自分が描いた絵を公募展に出品したい」と思い立ち、アクリル絵の具で絵を描き始めました。アクリル絵の具を使い始めた4ヶ月後に、無事公募展に作品を出展することができました。


この記事では、成分・乾き方・耐水性・描ける素材・塗り順・難易度という6つの視点で、2つの絵の具を比較します。
さらに、アクリル絵の具が水彩絵の具の代わりになるのか、初心者はどちらから始めるべきかもお伝えします。
読み終えるころには、ご自身の目的にぴったりな絵の具を自信を持って選べるようになります。
【概要】アクリル絵の具と水彩絵の具の違い
この章では、細かい解説に入る前に、違いの全体像を一枚の表で押さえます。
あわせて、「結局どちらを選べばいいのか」を目的別に回答します。
先に知りたい人向け・違いの早見表
アクリル絵の具と水彩絵の具の大きな違いは、乾いた後に水に溶けるかです。
水彩絵の具は乾いても水を含ませれば再び溶けます。
アクリル絵の具は乾くと樹脂の膜になり、水に溶けなくなります。
この1点から、他の違いのほとんどが説明できます。
| 比較項目 | 水彩絵の具 | アクリル絵の具 |
|---|---|---|
| 主な成分 | 顔料+アラビアゴム | 顔料+アクリル樹脂 |
| 乾いた後の耐水性 | 水で再び溶ける | 水に溶けない(耐水性あり) |
| 乾く速さ | 比較的ゆっくり(紙や水分量による) | 速い |
| 描ける素材 | 主に紙 | 紙・布・木・金属など幅広い |
| 塗り順の基本 | 明るい色から暗い色へ | 暗い色から明るい色へも可能 |
| 修正のしやすさ | 乾いた後でも水で落としやすい | 乾くと落とせないが、上から塗り重ねられる |
| 表現の方向性 | 透明感・にじみ・ぼかし | 重ね塗り・マットな平面・厚塗り |
どちらを選ぶべきか?タイプ別の目安
目的が決まっているなら、選ぶ基準はシンプルです。
透明感のある淡い絵やにじみを楽しみたいなら、水彩絵の具を選んでください。
キャンバスや木に描きたい、色を重ねて修正しながら仕上げたいなら、アクリル絵の具が向いています。
もし紙以外に描く予定があるなら、最初からアクリル絵の具一択です。
成分と材料の違い|同じ「水で溶く絵の具」でも中身が別物
絵の具は、色の粉である顔料と、それを素材にくっつける「のり」の役割をする成分(専門用語で「展色剤」)でできています。
「のり」の性質の違いが「水彩絵の具」と「アクリル絵の具」の性質の違いになります。
この違いを知ると、後の章の内容が理解しやすくなりますよ。
水彩絵の具は「顔料+アラビアゴム」
水彩絵の具ののりの成分は、主にアラビアゴムという水溶性の天然樹脂です。
水に溶ける性質の素材で固めているため、乾いた後も水を含ませれば再び溶けます。
アクリル絵の具は「顔料+アクリル樹脂」
アクリル絵の具ののりの成分は、アクリル樹脂を水に細かく混ぜ込んだ乳白色の液体(専門用語で「エマルション」)です。
塗った直後は水で薄められますが、水分が蒸発すると樹脂同士がつながって膜になります。
この膜は水に溶けません。
これが、アクリル絵の具が耐水性を持つ理由です。
画材店には「アクリルガッシュ」という名前の絵の具も並んでいます。「アクリル絵の具」と「アクリルガッシュ」は異なる性質を持つ絵の具です。この記事では「アクリル絵の具」について解説しています。

乾く速さと乾いた後の違い|耐水性・接着性・仕上がり
この章では、実際に描き始めてから最も差を感じる「乾燥」にまつわる違いを4つに分けて解説します。
制作中の注意点や、重ね塗りができるかどうかについても解説します。
乾燥スピードの違い
アクリル絵の具は、水彩絵の具より乾くのが速いのが特徴です。
パレットに出したまま放置すると、数十分で表面が固まり始めます。
水彩絵の具は、パレット上で乾いても水を足せば復活します。
そのため、乾燥を気にせず時間をかけてゆっくり描きたい人には水彩が向いています。
- パレットに出した絵の具に、霧吹きでこまめに水をかける
- 乾燥を遅らせるメディウムを絵の具に混ぜる
- 空調などの風が直接当たらない場所で製作する

耐水性の違い
アクリル絵の具は、乾けば水に濡れても溶け出しません。
だからこそ、上から水っぽい絵の具を重ねても下の色が動かず、きれいに層を作れます。
水彩絵の具は、乾いた後でも上から水を含んだ筆で触ると下の色が溶けます。
この性質は、にじみやぼかしを作るときには長所ですが、重ね塗りでは濁りの原因になります。
接着性の違い
アクリル絵の具は、乾くと樹脂の膜が素材にしっかりとつきます。
紙だけでなく、布・木・金属・プラスチックにも定着します。
水彩絵の具は接着力が弱く、紙の繊維に染み込んで定着するイメージです。
そのため、吸水性のない素材には基本的に向きません。
乾いた後の色の変化
水彩絵の具は、乾くと色が薄く、明るく見えることが多いです。
アクリル絵の具は逆に、濡れているときより乾いた後のほうがわずかに暗く見える傾向があります。
どちらも「乾いた色を想定して塗る」感覚が必要になります。


描ける素材(支持体)の違い
この章では、「何の上に描けるか」という違いを整理します。
支持体(絵を描く土台になる素材)の選び方を間違えると、どれだけ上手に塗っても絵が長持ちしません。
水彩絵の具は基本的に紙
水彩絵の具は、水を吸う紙に描くのが前提です。
水彩紙は、水分を吸い込みつつ表面に顔料を残す設計になっています。
画用紙やスケッチブックでも描けますが、水を多く使うと波打つため、水彩紙を使うのがおすすめです。
アクリル絵の具は布・木・金属にも描ける
アクリル絵の具は、紙に加えてキャンバス(布)・木のパネル(木の板)・イラストボード・石膏像・陶器など、幅広い素材に使えます。
素材によっては、下地材のジェッソを先に塗ると発色と定着が安定します。
キャンバスは、アクリル用や油彩・アクリル兼用のものを選べば問題なく描けるので、本格的な絵画の制作にも向いています。
ただし、油彩専用のキャンバス(油分を含む下地が塗ってあるもの)は絵の具がはじかれたり剥がれたりするため、避けてください。
表現と塗り順の違い|透明感を活かすか、重ね塗りで描くか
この章では、「同じ風景を描いても仕上がりがまったく違う理由」を塗り順の観点から解説します。
塗る順番を間違えると、水彩は濁り、アクリルは手数が増えるため、ここは押さえておきたい部分です。
水彩絵の具の塗り順(明るい色から暗い色へ)
透明水彩は、紙の白を光として使うので、白い絵の具で明るさを足せません。
そのため、最初に淡く明るい色を置き、あとから濃く暗い色を重ねるのが基本です。
先に濃い色を塗ってしまうと、後から明るくできません。
アクリル絵の具の塗り順(暗い色から明るい色へも可能)
アクリル絵の具は不透明に塗り重ねられるので、暗い色の上から明るい色で覆えます。
下地に暗い色を置き、後から明るいハイライトを重ねる描き方も可能です。
乾くのが速いので、失敗しても塗りつぶしてやり直せます。
油絵のような重ね塗りの手法が、水彩感覚のまま使えるのが魅力です。
メディウムで表現を広げられるのはアクリル
アクリルには、メディウムという専用の混ぜ物があります。
絵の具に足して、質感や乾き方を変えるための画材です。
艶を出すもの、盛り上がりを作るもの、乾燥をゆっくりにするものなど、種類はさまざまです。
メディウムを使い分けると、水彩のような薄塗りから、厚みのある立体的な表現まで1種類の絵の具で幅広くカバーできます。

描きやすさと難易度の違い|初心者がつまずくポイント
この章では、「どちらが簡単か」という疑問を、修正のしやすさと後片付けの2つの軸から比べます。
結論から言えば、気軽さは水彩、失敗への強さはアクリルです。
修正のしやすさ
水彩絵の具は、乾いた後でも水を含ませた筆やティッシュで色を取り除くことができます。
ただし、紙が傷みやすく、完全に元の白には戻りません。
アクリル絵の具は、乾いたら落とせませんが、上から別の色で塗り直せるので、修正はむしろ簡単です。
「消す」のが得意なのが水彩、「覆う」のが得意なのがアクリルと覚えておくと迷いません。
後片付けと筆のお手入れ
アクリル絵の具のいちばんの注意点は、筆を放置すると固まって使えなくなることです。
制作中は筆を水につけたままにし、終わったらすぐに水で洗い流してください。
アクリル絵の具が乾く前に洗うのが鉄則です。
水彩絵の具は、乾いても水で戻せるので後片付けが楽です。
パレットも、乾いた絵の具をそのまま次回使えます。

アクリルは水彩絵の具の代わりになる?逆は?
この章では、「手持ちの絵の具で代用できるのか」という疑問に答えます。
結論として、代用は条件付きで可能ですが、仕上がりの質感は変わります。
アクリルで透明水彩の表現はできるか
アクリル絵の具を多めの水で薄めれば、水彩に近い透明感のある塗りは再現できます。
ただし、乾くと耐水性になるため、水彩特有の「後から水でぼかして戻す」ことはできません。
にじみやグラデーションを楽しみたいなら、乾く前に素早く作業する必要があります。

水彩(不透明水彩)でアクリルの代わりはできるか
不透明水彩(ガッシュ)なら、マットな平面表現はアクリルに近づけられます。
しかし、乾いても水に溶けるため、重ね塗りで下の色が混ざりやすい点は変えられません。
また、キャンバスや木への定着力もないので、代用には限界があります。
最初にそろえたい道具と選び方
この章では、最低限必要な道具をリストアップします。
道具選びで失敗しやすいポイントも合わせて解説します。
アクリル絵の具を始めるときの道具
アクリル絵の具で最初にそろえたいのは、次のものです。
- アクリル絵の具のセット(まずは12色前後)
- ペーパーパレット(乾いたら破棄できるため、洗う手間がありません)
- 筆(ナイロン筆などアクリル向きの穂先のもの)
- 筆洗器(水を入れる容器)
- 紙、キャンバス、イラストボードなどの支持体(絵を描く土台になるもの)
パレットはペーパーパレットがおすすめです。
アクリルは乾くと固着するので、水彩に比べて洗パレットを洗う手間がかかります。そん点、使い捨てできるペーパーパレッとは洗う手間がいりません。




水彩絵の具を始めるときの道具
水彩絵の具では、次のものを用意します。
- 透明水彩絵の具のセット(12色前後)
- 水彩紙(画用紙より水に強い)
- 水彩筆(水含みのよい天然毛や高品質な合成毛)
- パレット(陶器やプラスチックの仕切りがあるもの)
- 筆洗器とティッシュ



まとめ|違いを理解して自分に合う絵の具を選ぼう
水彩絵の具は、透明感とにじみが魅力です。
アクリル絵の具は、耐水性と接着力、重ね塗りの自由度が武器です。
迷ったときは、描きたい素材と仕上がりのイメージで選んでください。
紙に淡く描くなら水彩、キャンバスや木にしっかり描くならアクリルです。
どちらにも魅力を感じている方は、まずは少ない色数のセットで、両方の感触を試してみることをおすすめします。
- 最大の違いは「乾いた後に水に溶けるか」
- 水彩絵の具は透明感とにじみ、アクリル絵の具は耐水性と重ね塗りが強み
- 迷ったら「描きたい素材」と「仕上がりのイメージ」で選ぶ
- どちらも気になる方は、両方試してみよう!






